髪は女の命です


…命…とはちょっと大袈裟な言い方かもしれませんが…。
でも、女性の気持ちをよく現してる言葉だと思います。
新たな薬次第では、また脱毛するかも知れない。
覚悟を決めなければ…。そう思ってました。
内分泌療法になり、脱毛は免れることが出来そう…と分かるやいなや嬉しくて美容院に行きました。新たな治療に向けて、身も心もリフレッシュ!五ヶ月ぶり!?有り得んっ(汗)


以前、術後化学療法のCEF、タキソテール投与にて、全て脱毛してしまいました。
分かってはいたものの、いざ脱毛が始まると、そのあまりの凄さに唖然…。
髪を洗う時、排水溝に溜まった髪の毛の量たるや…。抜ける抜ける、あれはなかなかホラーな光景でした…。
お風呂上がりの鏡の中の私はまさにがん患者。
髪の毛だけではなく、眉、睫毛、体中のありとあらゆる毛が全て抜けてしまいました。
命には変えられないのだけど…一気に奈落の底に突き落とされたような…
ほんとうに落込みました。
髪の抜けない抗がん剤って開発出来ないもんですかね?
あれだけ副作用キツくて、それに耐えるのだけでも精一杯なのに、追い打ちをかけるかのような脱毛…。あの敗北感…。
本に書いてある通り、治療開始からきっかり二週間後にはじまるのも何だか凄いよな…。がん友たちとの話題もこの頃は髪の毛話が多く…。「どんな副作用にでも耐えるから、髪だけは抜けんで欲しいよね〜」と皆さん口を揃えて言うのでした。
治療スケジュールが完了し、やっと生えて来た髪はくりんくりんの癖っ毛。
しかも、トップやフロントはいっこうに伸びず、襟足だけ伸びるという摩訶不思議な伸び方なのです。
そして、一刻も早くウィッグやニット帽とおさらばしたかった私は、ツンツンにカットしてもらい、一度目の自毛デビューをしたのでした。
しかし、そんなPUNKな気分も束の間。
脛骨転移疑いが発覚し、今度はタキソールとハーセプチン投与が始まりました。
タキサン系の抗がん剤には脱毛は必須です。
投与からほどなく、せっかく伸び始めた髪は、また脱毛してしまいました。
それから約一年後、生検の手術をし、良性であることが確定するまで投与が続きました。
その後、ほんとうの自毛に戻るまで、更に一年位かかったかな……。


その後使った抗がん剤(ナベルビン)では脱毛せず、今に至っています。
それまではやったことない超ベリーショートを楽しむ事が出来たのは、いつもカットしてくれているU氏のおかげです。
私と友人の間では通称「神の手を持つ男」。
初めてウィッグを取った時、顔から火が出る思いだった私に…
「なぁん、ぜんっぜん変じゃないやん!」さらりとそう言ってくれたU氏…。
涙出るほど嬉しかったな…。
言ったことも覚えてないだろうけど。
そのひとことで、あの時期を乗り越えられた気がします。自毛に戻るまでの過程もずっと見てくれてるので、何だか同志のような気さえするのです。


脱毛は辛いです。
もし、この先、がん治療をされる方がいらっしゃるならば(そうならないように願ってますが)、治療中の脱毛対策は万全にされることをお勧めします。
辛い闘病中のモチベーションを高める為にも…。
前を向いて生きて行く為にも…。



左。ずっとロングだった髪を…
右。抗がん剤投与が始まる前にショートにした。



左。二度目の自毛デビュー!
右。髪がどんどん伸びて嬉しい頃