雨の日曜日

齋藤先生が所属される混声合唱団Chor F.L.C.の第18回演奏会に行って来ました。
今回の演奏会はアルゼンチンの作曲家、アリエル・キンタナのミサ「Mass From Two Worlds」。そして谷川俊太郎氏の詩の合唱作品を演奏されました。
とても印象深かった詩を「ここ」にも書き留めておこうと思う。



谷川俊太郎


「歩く」


歩いている
自分の二本の脚で歩いている
いつか歩けなくなるとしても
いまは歩ける幸せ

歩いている
曇り空の下を歩いている
用事はあるがそれはどうでもいい
どこからどこへそれは分かっている

この路地は大通りへ通じていて
大通りは盛り場に通じていて
盛り場は海へそして他の陸へと続く
そのどれもただ通り過ぎるだけ

歩いている
このささやかな喜び
たとえ心に何を隠しているとしても
脚はこの星を踏みしめている




「あお」


よるのやみにほろぶあおは
あさのひかりによみがえるあお
あおのかなたにすけているいろはなにか


うみのふかみににごっていくあおは
そらのたかみにすみわたるあお
あおのふるさとはどこか


こくうをめざせばそらのあおはきえる
てのひらにすくえばうみのあおはすきとおる
あおをもとめるのはめでない


かなしみのいろ あこがれのいろ
あおはわたしたちのたましいのいろ
わたしたちのすむこのほしのいろ




シャガールと木の葉」


貯金はたいて買ったシャガールのリトの横に
道で拾ったクヌギの葉を並べてみた


値段があるものと
値段をつけられぬもの


ヒトの心と手が生み出したものと
自然が生み出したもの


シャガールは美しい
クヌギの葉も美しい


立ち上がり紅茶をいれる
テーブルに落ちるやわらかな午後の日差し


シャガールを見つめていると
あのひととの日々がよみがえる


クヌギの葉をみつめると
この繊細さを創ったものを思う


一枚の木の葉とシャガール
どちらもかけがえのない(大切な)もの


流れていたラヴェルのピアノの音がたかまる
今日が永遠とひとつになる


窓のむこうの青空にこころとからだが溶けていく
(……この涙はどこからきたのだろう)





土砂降りの日曜日だったけれど、また娘との想い出がひとつ増えた。
齋藤先生ありがとうございました…。





帰り道、いつもの神社へお参りに……
娘の胸元にはフクイユキさんのピンバッチ……。






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