がんとの共生


遠隔転移して二年が過ぎた。
ここに来てやっと「がんと共存する」というのがどういう事なのか、解りかけて来たような来がする。


二年前の今日、鳥越 俊太郎氏の講演会に行った。
雪の舞う寒い日だった。
医療従事者対象の講演会だったが齋藤先生のおはからいで私も行かせていただく事が出来ました。
うきは市出身でおありになる鳥越氏。時折、筑後弁を交えての講演は笑いもあり…。手術の時の事など、聴きいってしまうほどのリアルさでした。
「実は二月に肝臓の手術を受けるんです。肺、肝臓と来たから次は骨か脳でしょうね。」なんて、さらりとおっしゃる。
私はあとどれくらい生きれるのだろう……悲観的な思いにばかり苛まれていた私はガツン!とやられた気がしました。
そうだった。今の私は私がいちばん嫌いな私になっている…。ハッと眼が覚めた感じがしました。


それから9ヶ月後の10月。再び講演会に行きました。
二月に手術をされたとは思えない程更にパワーアップされた鳥越 俊太郎氏と村山 斉氏(東大数物連携宇宙研究機構長、特任教授、理学博士)のトークライヴ。
テーマは「宇宙、生命」
難解な内容でしたが、好奇心旺盛な私はもう、胸が高鳴りっぱなしでした。


鳥越氏はこう言われる。
「がんから逃げないことです。
逃げたらなんでもこわい。向き合うとこわくなくなる。」


講演から二年が経った今日。
あらためてこの言葉を胸に刻んでいる。