ちいさなお母さん


昨夜、夕食を作ってる時、火傷をしてしまった。スープを煮込んでる横に置いていたお皿を持ってしまった。
一瞬、熱いのか何なのかわからなかった。
すぐに流水で冷やしたのだけど、右手の親指と中指が、白っぽくなってズキズキと痛んだ。お湯に触れるとあまりの痛みで、手袋をはめて後片付けをしようとしてたところ、娘がキュッと腕まくりしてこう言った。
「ママ、りーちゃんが洗うから大丈夫だよ!」
冷凍庫から、ケーキやなんかに付いてる保冷剤を出して来て、
「ママはこれで冷やしててね。」
でも、お皿を入れる位置が高すぎて、置けない。並んでシンクに立ち、娘が洗ったお皿を私が置く。見てると、洗剤の洗い残しがたまにある。
「りーちゃん、洗剤で綺麗にしたら、よーく洗い流すんだょ。」
一緒に台所に立つと、いろんな事が話せる。
私が一年生の頃なんて、洗い物なんて、やってなかったよなぁ…。
でも、この子だって大人になって結婚し、母となる日が来るだろう。
大学生になり、一人暮らしをするかも…。そんな時、何にも出来ないほど大変なことはない。
親の最大の役目は、生きていくための大切なことをきちんと伝えておく(教えるという言い方はあまり好きではない)ことにある。
今はまだこんなに小ちゃいけど…大きくなってこうして並んで台所に立ったら、どんななんだろう…。
どんな話するかな…。
女同士、いろんな話が出来るんだろうな…。
なんて…。またちょっと感傷的になってしまいました。
そして寝る時…。
布団にもぐり、顔だけちょこんと出して、まだ起きてる私をじいっと見つめて言うのだ。
「ママ、おてて大丈夫?りーちゃんに任せてね。りーちゃんに出来ることは何でもするからね、ママは早くおててを治してね。」
思わず、私も布団に入り、きゅうって抱きしめた。いつも同じ布団で寝てるのだけど、娘が寝る時間にはまだまだ寝れない。
でも、今日は寝付くまでずーっと手を握ってた。
まだまだ小さな手を…。
ありがとう、りーちゃん…。
ありがとうね…。ほんとにありがとう…。(涙)