自分を知ること


今日は治療日。
なんとなく憂鬱な気分で乳腺外科外来へ…。
何時もの如く患者で溢れていた。
受付に立つと、一斉に視線を浴びてしまう。
でも解る。私だって初めの頃はそうだった。
(あ〜、あの人も乳がんなんかな…)とか、(あっ、あの人、ウィッグやん…)とか、いちいち見てるのである。多分、あの頃の私はがんという病を共有出来る「仲間」が欲しかったのかも知れない。こんな思いをしてるのは自分だけじゃないんだと思いたかったのだ。
今はもうそのような事は余り思わなくなった。


主治医に右鎖骨上のしこりの事を言ってみた。触診しながら「う〜ん…目立っては触れないみたいだけどねぇ…。」一月にCT撮ったばかりだし、とりあえず様子見ということになった。私としては、首が痛くなる程触りまくって左にはないしこり(ごく小さいものであるが)を感じたのだ。そう言われても、不安が消える訳ではなかった。


そうだょな…この微妙な違和感が、自分以外の人に解かる訳がない。
がんの不思議なところはそこにある。もともと自分自身の細胞が変化したものなのだ。
いきなり痛いとか、苦しい、とかになる訳ではない。何となくの違和感…。
やはりがんは自分自身から発せられる自分へのHelp Meなのだ。
自分の中の、目には見えない内なるものが、私という存在をなすこの身体に対して、助けを求めていたんだ。
今までの私じゃダメなんだ。精神的にもきつかった。もう、いろんなこと、全部ひっくるめて、私は私を助けなければならない。
自分に手を差し伸べる事が出来るのは自分自身なのかも…。
その事に気付かない限り、がんはまたやって来る…。