雨だれ


雨の一日だった。
でも嫌いじゃない。寧ろ好きかも…
六月生まれだからかな…


降り続く雨音が好き。
雷や稲光も好き。
雨音を聴きながら、ぼぅっと瞑想するのが好き。
それは雨上がりの煌めく陽の光を想うからなのか……


記憶とは不思議なものだ。
ついこの間の事は忘れてしまうときがあるのに、何十年前も昔のことがついこの前のことのように鮮明に蘇る時がある。
何故だろう…。
傘を忘れた時、教室の窓から傘を持って校庭を歩いて来る母を見つけて、嬉しくてたまらなかったこと。
水はけが悪く、川のようになった小径に笹の葉っぱで作った小舟を浮かべて流れ行く様をずっと観察していたこと。従姉妹たちが泊りに来た翌朝の雨上がりの霧に煙る駐車場で遊んだこと。雨の降る午後、リカちゃんで遊んでる横のこたつには読書にふける祖父と縫い物をする祖母がいたこと。
ぽつぽつぽつと規則正しい雨音に延々と聴き耽っていたこと…。
私の子どもたちも、遠い未来に、今のことをこんな風に想い出す時があるのかな…。
降る雨を見ながら、そんなことをぼぅっと考えた。


今日は車の中で、ずっとLANG LANGを聴いていた。LANG LANG=郎朗は中国の若手実力派ピアニスト。それは繊細で叙情性溢れるだけでなく、まさにエキサイティング!
聴くたび、胸が高鳴る。ワクワクする。
どれだけ聴いていてもいつも心に響く。
彼は「表現者」なのだ。
そう考えた時、一つの思いが浮かんだ。
私たちも、「私」という一人の人間を生きて「表現している」のではないのか?


そう考えると…
ヤバイっ!
おちおち塞ぎ込んでる暇なんてない!


日々を生きる…
何でもないことのような些細なことの中にこそ、一生忘れることのない大切なことが隠されている。
そんな何気ない一日をちゃんと生ききる…


それこそが「生きる」ということなんじゃないのかな…。