心はちゃんとここに在る
家の中にいても、蝉の鳴く声があんなに途切れなく聴こえていたのに…
今はツクツクボウシの声だけが晩夏を惜しむかのように鳴いている。
今日なんて昼間は夏のような日差しでしたが…もう秋は訪れてるのですね…
週末くらいから、何だか調子が良くない。
みぞおちあたりの圧迫感。
胸骨も触ると痛い。食欲も無い。
急激に悪化してるんじゃなければいいが……
今回ばかりは今までと違う。
一刻も早く抗がん剤を開始しなければと言う気がする。
今、外に出てみた。
昨日は中秋の名月…
いいなぁ…お月様って。
こんな夜は果てしなく続く宇宙のことを想わずにはいられなくなる。
私の心に居ついてる不安は何なのか?
ふっと感じる初秋の風…
娘と食べた果汁滴る豊水の味……
そして神秘的に輝く月の美しさ……
あぁ…そうだ…
感じること
気づくこと
がんはこの二つまで持ち去りはしない。
自分の心がどう在るかなんだ……
心までがんにコントロールされてはいけない。
《 危険から守り給えと祈るのではなく、
危険と勇敢に立ち向かえますように。
痛みが鎮まることを乞うのではなく、
痛みに打ち克つ心を乞えますように。
人生という戦場で味方をさがすのではなく、
自分自身の力を見いだせますように。
不安と怖れの下で救済を切望するのではなく、
自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。
成功のなかにのみあなたの恵みを感じるような
卑怯者ではなく、失意のときにこそ、
あなたの御手に握られていることに気づけますように。》
《ラビンドナラート・タゴール『果物採集』より。石川拓治訳》